特別支援学級とは
特別支援学級は、障害のある児童生徒を対象にした少人数の学級です。
小・中学校に設置されており、学級担任が配属され、通常の学級と同じ機能を持ちながら特別の指導を行うことができるようになっています。
高校は義務教育ではないため、特別支援学級は設置されていません。
水戸市の場合、特別支援学級は小学校30校,中学校15校となっています。(令和5年4月時点)
特別支援学級の概念
特別支援学級は、障害を持つ児童生徒の教育を受けるための教育環境です。
障害のある児童生徒には個別の支援が必要であり、特別支援学級ではその支援を提供することが目的となっています。
特別支援学級では、障害の程度や児童生徒のニーズに応じて個別の指導が行われます。
特別支援学級の対象となる生徒
特別支援学級の対象となる生徒は、様々な障害を持つ児童生徒です。
特別支援学級の対象者は、その者の障害の状態、教育上必要な支援の内容、地域における教育の体制の整備の状況などを勘案して判断されます。
「障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)」での特別支援学級での障害の種類及び程度は以下のとおりです。
知的障害者 | 知的発達の遅滞があり,他人との意思疎通に軽度の困難があり日常生活を営むのに一部援助が必要で,社会生活への適応が困難である程度のもの |
肢体不自由者 | 補装具によっても歩行や筆記等日常生活における基本的な動作に軽度の困難がある程度のもの |
病弱者及び身体虚弱者 | 1)慢性の呼吸器疾患その他疾患の状態が持続的又は間欠的に医療又は生活の管理を必要とする程度のもの 2)身体虚弱の状態が持続的に生活の管理を必要とする程度のもの |
弱視者 | 拡大鏡等の使用によっても通常の文字,図形等の視覚による認識が困難な程度のもの |
難聴者 | 補聴器等の使用によっても通常の話声を解することが困難な程度のもの |
言語障害者 | 口蓋裂,構音器官のまひ等器質的又は機能的な構音障害のある者,吃音等話し言葉におけるリズムの障害のある者,話す,聞く等言語機能の基礎的事項に発達の遅れがある者,その他これに準じる者(これらの障害が主として他の障害に起因するものではない者に限る。)で,その程度が著しいもの |
自閉症・情緒障害者 | 1)自閉症又はそれに類するもので,他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの 2)主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので,社会生活への適応が困難である程度のもの |
特別支援学級の主な内容
特別支援学級では、通常の学級と同様に必要な教科や行事を行う一方で、障害を持つ児童生徒に対する支援も行われます。
特別支援学級で推進されている「交流及び共同学習」では、通常の学級の児童生徒と一緒に必要な教科や行事を行う形態であり、その学年学級は「協力学級」「交流学級」とも呼ばれます。
特別支援学級の生徒も学級活動に参加することで、同学年との交流が生まれ社会性を育むことができます。
中でも、「自立活動」は障害により生じる学びや生活での課題を克服・改善することを目的としています。
生活リズムや生活環境、自己理解やコミュニケーションなどを通して、社会参加しやすくするための活動です。
特別支援学級の入学基準
特別支援学級に入学するためには、いくつかの基準を満たす必要があります。
特別支援学級の対象となる障害種類
特別支援学級の対象となる障害は、7種類です。
- 弱視
- 難聴
- 知的障害
- 肢体不自由
- 病弱・身体虚弱
- 言語障害
- 自閉症・情緒障害
ただし、就学先の学校で対応していない種類もあり、その場合は希望を出すことで設置や入級が認められる場合もあります。
入学手続きと必要な資格
特別支援学級に入学するためには、入学手続きが必要です。
児童生徒の保護者は学校に連絡し、特別支援学級に通いたい旨を伝えます。
児童生徒の障害やニーズを評価し、特別支援学級が適切な教育環境であるかが判断されます。
判断材料として、社会生活能力検査やWISCⅢなどの検査が行われることもあります。
市区町村の修学支援委員会が総合的に判断し、管轄の都道府県の教育委員会が最終的に決定し通知を出します。
また、通常の学級からの特別支援学級への転学、あるいは特別支援学級からの普通級(通常の学級)への転学も可能です。
子どもの発達や状況を見ながら柔軟に対応していきます。
特別支援学級と通常の学級との違い
特別支援学級と通常の学級では、教育の進行方法や学級規模、入学基準と教育方法などに違いがあります。
教育の進行方法の違い
特別支援学級では、児童生徒の個々のニーズに応じた個別の指導が行われます。
通常の学級で行われる教育課程をそのまま適用できない場合があるので、障害の程度や学習の進捗に合わせて、特別な学習計画が作成されます。
学校教育法施行規則第138条に則り、小・中学校の教育課程を基本とし「特別の教育課程」を編成します。
各教科の内容
下学年の内容や特別支援学校(知的障害)の各教科の内容に替えることができます。授業時数
各教科・領域等の授業時数は、弾力的な取り扱いができます。ただし、総授業時数は、小・中学校と同じです。自立活動の指導
特別に設けられた領域(自立活動)の指導を取り入れます。「自立活動の指導」については、19ページで説明しています。各教科等を合わせた指導
領域・教科を合わせた指導ができます。14ページ以降で、具体的な指導の形態について説明しています。教科用図書
引用元:特別⽀援学級の教育課程
当該学年の教科書に代えて、他の適切な教科用図書を使用することができます。各地の教科書の展示会等を参考にして、児童生徒の実態に合った教科書を選定するようにします。
一方、通常の学級では、全体の進行スケジュールに合わせて授業が進められます。
個別のニーズに応じた支援は限られており、児童生徒は一般的なカリキュラムに基づいて学習を進めます。
特別な支援や配慮が必要な場合は、通級や補助などを受けることがあります。
学級規模と人数の違い
特別支援学級は、通常の学級に比べて人数が限られています。
特別支援学級では、障害の程度や個々のニーズに合わせて少人数の学級が編成され、児童生徒一人ひとりにより密接なサポートが行える環境が整えられます。
一方、通常の学級では、児童生徒の人数が比較的多くなることがあります。
学級の平均人数は学校や地域によって異なりますが、一般的には20人以上の生徒が在籍することがあります。
その人数の多さから、個々のニーズに対する配慮が限られる場合があります。
また、通常の学級は同学年で編成されますが、特別支援学級は障害種別に学級編制され、異学年の児童生徒が在籍することになります。
入学基準と教育方法の違い
特別支援学級に入学するためには、本人や保護者の意思を尊重しながら、管轄の市区町村の修学支援委員会が総合的に判断し、就学先の教育委員会から決定通知が出されます。
障害の有無や程度、子どもの状態や校内・地域の体制などを総合的に見て判断されます。
特別支援学級についての相談は、市町村の教育委員会などで就学相談も受けられますので、お近くの機関にてご相談ください。
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