発達障害とは？
発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達の偏りによる障害です。
これまでは十分な理解が得られず、特性に応じた支援なども十分でなく、日常生活に困難を生じるケースが多くありました。
発達障害は外見からは分かりにくく、人によって異なる特性を持っています。
社会全体での理解を高めるため、平成１７年４月から「発達障害者支援法」が施行されました。
（目的）
第一条 この法律は、発達障害者の心理機能の適正な発達及び円滑な社会生活の促進のために発達障害の症状の発現後できるだけ早期に発達支援を行うとともに、切れ目なく発達障害者の支援を行うことが特に重要であることに鑑み、障害者基本法 （昭和四十五年法律第八十四号）の基本的な理念にのっとり、発達障害者が基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、発達障害を早期に発見し、発達支援を行うことに関する国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、学校教育における発達障害者への支援、発達障害者の就労の支援、発達障害者支援センターの指定等について定めることにより、発達障害者の自立及び社会参加のためのその生活全般にわたる支援を図り、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。
（定義）
第二条 この法律において「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう。
2 この法律において「発達障害者」とは、発達障害がある者であって発達障害及び社会的障壁により日常生活又は社会生活に制限を受けるものをいい、「発達障害児」とは、発達障害者のうち十八歳未満のものをいう。
3 この法律において「社会的障壁」とは、発達障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。
4 この法律において「発達支援」とは、発達障害者に対し、その心理機能の適正な発達を支援し、及び円滑な社会生活を促進するため行う個々の発達障害者の特性に対応した医療的、福祉的及び教育的援助をいう。
引用元：発達障害者支援法
脳機能の発達に関連した障害
発達障害は、脳機能の発達に関連した障害の一つです。
脳の特定の部位や神経回路の発達が遅れたり、正常な発達が見られないことが原因とされています。
このため、情報の処理や社会的な相互作用に困難が生じることがあります。
コミュニケーションや対人関係の形成が苦手
発達障害の特徴の一つは、コミュニケーションや対人関係の形成が苦手であることです。
言葉の理解や表現が困難な場合や、他者とのコミュニケーションにおいて適切な反応を示せない場合があります。
そのため、他者との交流や友情の形成が難しいことがあります。
日常生活に困難が生じる可能性
発達障害を持つ人は、日常生活においてさまざまな困難が生じる可能性があります。
日常のルーティンの確立や時間の管理、自己ケアの能力に課題があることがあります。
学校や職場などでの適応力も低く、社会的な役割を果たすことに苦労することがあります。
発達障害の種類
発達障害には、さまざまな種類があります。
主なものには以下のようなものがあります。
自閉症スペクトラム障害（ASD）
自閉症スペクトラム障害は、社会的なコミュニケーションや行動の制約を伴う障害です。
自閉症スペクトラム障害のある人は、他人との関わりを避ける傾向があり、興味や行動の範囲が狭くなることがあります。
また、周囲に合わせた交流や人の気持ちに合わせたり同調したりすることが難しいため、適切な社会的な対応が難しくなることがあります。
自分の得意なことや好きなことには熱心になりますが、急な予定変更や初めてのことに対して抵抗があり時間がかかったりします。
注意欠陥多動性障害（ADHD）
注意欠陥多動性障害は、注意力や衝動性のコントロールに問題を抱える障害です。
ADHDのある人は、注意が散漫で集中力が持続しづらいため、作業や学習において困難を感じることがあります。
ミスが多かったり、活動に集中できず最後までやりとげない、話しかけられても聞いていないように見える、整理整頓が苦手、忘れ物が多いなどです。
また、多動性があり、落ち着かない傾向も見られます。
例えば学校などで着席できない、手や足を動かしてしまう、じっとしていられず動き出すなどがあります。
学習障害（LD）
学習障害は、読み書きや計算などの学習において困難を抱える障害です。
学習障害のある人は、情報を正しく処理することや、学習内容を記憶することに苦労することがあります。
このため、学習遅延が生じたり、学業や職場での成績に影響が出ることがあります。
小学校２年生頃から成績不振などが見られます。
発達障害の特徴
発達障害は、脳機能の発達の偏りにより生まれる障害であり、個々の特性や環境とのミスマッチから生活に困難が生じることがあります。
幼児のうちから症状が現れ、育児でうまくいかないこともあります。
具体的には、１歳を過ぎた頃からサインが現れると言われています。
保育園や幼稚園など集団生活に入ると一人遊びが多かったり、集団生活が苦手、対人トラブルが起こるなどで気づくことがあります。
言葉の発達に遅れ
言葉の発達に遅れを感じることがあります。
言葉の理解や話すことに苦労をし、コミュニケーションがうまく取れないことがあります。
そのため、周囲の人との意思疎通が難しくなる場合があります。
集団行動に参加しにくい
集団行動に参加しにくいことがあります。人との関わりや社会的なルールに対する理解が難しく、孤立感を感じることがあります。また、他の人との交流やグループ活動に苦手意識を持つことがあります。
注意力の散漫さや多動性
発達障害の人は、注意力が散漫であったり多動的な行動をとることがあります。集中力が続かないため、学習や作業の効率が悪くなることがあります。また、静かに座っていることが苦手で、体を動かしたり、落ち着かないことがあります。
発達障害支援の重要性
発達障害は人によって異なる特性を持っており、同じ方法で支援することはできません。
また「治らない病気」ではなく支援の在り方によってその生きにくさが緩和されることもあります。
成長とともに改善されていく課題もあります。
一人一人の個別のニーズを理解し、それに基づいて支援計画を作成することが求められます。
例えば、個別での療育でコミュニケーションの発達を促したり、生活環境の調整、学習障害では教育的な支援も交えて個々の特性に合わせた支援を行うことで、能力を最大限に引き出すことができます。
不安が減ることで気持ちが安定し、自己理解が進み、パニックが少なくなったり、学習への意欲も高まります。
怠慢や我儘といった見方ではなく、周囲の認識や知識を広げて発達障害に関する正しい情報を得ることで、関わりや支援方法において的確な判断ができるようになります。
ハンディキャップになる前に、できるサポートを考えていきましょう。
