「うちの子が将来うつになるかもしれない」
そう聞いて、不安になりましたか?
でも、知っておくことはネガティブなことじゃないんです。
いざというときに慌てないための、大切な情報収集です。
発達障害のある子どもを育てる親だからこそ、知っておいてほしいことがあります。
発達障害と二次障害の関係
発達障害のある子どもは、成長する過程で「二次障害」としてうつ病や不安障害などの精神疾患を発症しやすいと言われています。
二次障害とは、発達障害そのものではなく、発達障害があることで生じる困難やストレスが積み重なって起こる別の障害のことです。
子ども時代に精神疾患の診断が降りることはほとんどありません。
二次障害が表面化しやすいのは、社会に出る大人になってからです。
なぜ大人になってから発症しやすいのか
子ども時代は、家庭や学校という守られた環境の中で過ごすことができます。
しかし社会に出た途端、状況が一変します。
- 職場での人間関係や暗黙のルールへの対応
- 「普通にできて当たり前」というプレッシャー
- 親や周囲に迷惑をかけてきたという罪悪感から無理をしてしまう
- 自分の特性に気づかないまま限界まで頑張ってしまう
これらが重なって、体と心が限界を迎えたときに二次障害として発症することが多いんです。
体験談IQは高く、勉強はできる方だったと思います。でも中学生のとき、いじめや様々なことがあり、不登校になりました。
親を悲しませてしまったという思いが強くて、「自立しなきゃ」という気持ちで資格を取って就職しました。
でも入った会社はブラック企業で、残業を含めると深夜2〜3時まで働いて9時始業という生活が続きました。頑張れば何とかなると思っていたけど、体が限界を迎えてうつになりました。
その後、人間関係でトラブルが有って「普通じゃない」と言われ、検査を受けたら発達障害の診断が降りました。
発達障害の特性が見えにくいまま社会に出ると、こういうことが起きやすくなります。
うつ病とはどんな状態?
これまで、医師の主観的な判断によるものが多かった精神障害の判断について、診断基準を明確にしたものがDSM-IV-TRです。
Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの略。
日本語訳では「精神障害の診断と統計の手引き」のこと。
以前の診断基準「DSM-IV」ではうつ病と双極性障害が「気分障害」の中に含まれていましたが、最新の「DSM-5」ではうつ病と双極性障害は別のカテゴリーになりました。
それに伴い「気分障害」という項目はなくなりましたが、この記事では従来の「気分障害」という言葉を用いながら、おもに「うつ病」について解説していきたいと思います。
3つの症状
うつ病は、気分の落ち込みや興味・意欲の喪失が長期間続く状態です。「気持ちの問題」ではなく、脳の機能に関わる病気です。
気分障害の「うつ病」「躁うつ病」「抑うつ神経症」について詳しく見ていきましょう。
大うつ病性障害や気分変調性障害とも言われる「うつ病」。
この場合の「大」は重症という意味ではなく、憂うつ症状がたくさん出ているという意味を持ちます。
具体的には、興味や関心など外に向けられる意欲が薄れ、抑うつな気分が続いたり楽しさを感じられないといったことが起こります。
悲しみや絶望感が長期間続き、日常生活での喜びや興味を感じられなくなることが特徴です。
具体的な症状としては以下のようなものがあります。
- 抑うつ気分(ほとんど一日続く)
- 興味または喜びの著しい喪失(ほとんど一日続く)
- 体重あるいは食欲の変化
- 睡眠障害(不眠もしくは過眠)
- 無価値感あるいは自責感
- 自殺念慮(反復して起こる)あるいは自殺企図ないし明確な自殺計画
- 疲労感あるいは気力の減退
- 思考力や集中力の減退あるいは決断困難
- 精神運動性の焦燥(イライラ落ち着かない)もしくは抑制(動きが少ない)
特に1と2いずれかは必ず存在したうえで、他の症状と合わせて5つ以上該当し、かつその症状が2週間以上に渡ってほぼ毎日続きます。
躁うつ病は「双極性障害」とも言われます。
躁状態では興奮や異常な高揚感が続いたり、エネルギーが非常に高まり行動にも変化が見られます。
抑うつ神経症は、気分変調性とも言われます。
2週間以上の期間、抑うつ気分のある日が多くありますが、抑うつ気分が大うつ病までいたらない症状を指します。
親が気づけるサインとは
大人になった子どもがうつになりかけているとき、どんなサインが出るでしょうか。
- 連絡が急に途絶えた
- 「疲れた」「もう無理」という言葉が増えた
- 仕事を急に辞めた・辞めたいと言い出した
- 昼夜逆転・引きこもりがちになった
- お金のトラブルが増えた
「心配だけど、口出しするのも」と遠慮してしまう気持ちはわかります。
でも、この段階で声をかけられるのは親だけかもしれません。
診断・治療について知っておくこと
気分障害の診断は、専門の医療機関で行われます。
障害の診断には、特定の基準や診断手段が存在します。
診断基準と診断手段
気分障害の診断には、DSM-5(精神障害の診断基準マニュアル)やICD-10(国際疾病分類第10版)に示された基準が使用されます。
これらの基準には、うつ状態や躁状態に関連する症状や期間、他の疾患との関連性などが指定されています。
また、診断には患者の症状を詳しく尋ねるための面接や、症状の評価に用いられる尺度なども使用されます。
治療やケアの方法
気分障害の治療には、薬物療法や心理療法が一般的に用いられます。
うつ病の治療では、抗うつ薬や気分安定薬が使用されることがあります。
抗不安薬などは服用すると効果を実感できることも多いのですが、長期間大量に服用し続けることへの体の影響も心配されています。
これらの薬物には副作用があるため、医師の指導のもとで適切に使用する必要があります。
心理療法では、認知行動療法や対人関係療法などが行われます。
認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy)はCBTとも呼ばれ、ストレスなどで固まって狭くなってしまった考えや行動を、ご自身の力で柔らかくときほぐし、自由に考えたり行動したりするのをお手伝いする心理療法です。
引用元:そもそも認知行動療法(CBT)ってなに?
もともとはアメリカのAaron T Beckという人が、うつ病に対する精神療法として開発したものですが、うつ病以外にも、不安症や強迫症など多岐にわたる疾患に治療効果と再発予防効果があると言われています。
また、現在では、精神科の治療としてだけではなく、法律、教育、ビジネス、スポーツなど、あらゆる領域で認知行動療法の考え方が取り入れられているようです。
対人関係療法では、非機能的な自動思考や行動パターンは単に病気の症状として位置づけ、「対人関係と感情・症状は相互作用しており、対人関係に対処することで症状の改善を目指す」ために、悲哀、不和、変化、欠如という対人関係問題領域に焦点化して取り組んでいきます。
引用元:対人関係療法
これらの療法は患者の思考や行動のパターンを変えることで、症状の緩和や再発予防を目指します。
発達障害のある人がうつになった場合は、発達障害の特性を理解した上での支援が必要です。
発達障害に詳しい医療機関や支援機関を選ぶことが大切です。
親としてできること:疲弊する前につながり続ける
発達障害のある方の居住支援に関わる中で感じるのは、相談に来る方の多くが親とうまくいっていないということです。
どこかで親が疲れてしまって、関わることをやめてしまった。
そうなると、子どもが大人になって困ったとき、頼れる大人が誰もいない状態になってしまいます。
支援につながろうとしても、身寄りがいない・相談できる人がいないままでは、社会復帰がとても大変になります。
子育ては本当に大変です。
疲れるのは当たり前。
でも「つながり続けること」が、10年後・20年後の子どもの生活を変えます。
完璧な親でなくていい。
ただ、いてあげること。一緒に悩み、道を模索すること。
それだけで子どもの未来は大きく変わります。
一人で抱え込まず、まず誰かに話してみてください。
みんなのあしあとのインタビューには、同じ道を歩んできた親御さんたちの経験が詰まっています。





